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足元の掘り起こし 5月22日掲載
足元の掘り起こし

 青井阿蘇神社の例大祭は、十月三日から十一日まで斎行(さいこう)されますが、「おくんち祭」の名称どおり、九日の神(しん)幸式(こうしき)が特ににぎわいます。約二千人が時代絵巻さながらに、市内の目抜き通りを練り歩き、沿道は参拝者であふれます。
人吉球磨の地域住民にとって、毎年待ち望まれてきた最大の楽しみでしたが、以前の賑わいには程遠い一時期を経験したことがありました。「年に一度の祭りのにぎわいさえも取り戻せないで、街づくりが成功するはずがない」と取り組んだのが、祭りマニュアルの作成です。祭り期間中に執り行われる神事や行事の解説をはじめ、行列所役(しょやく)や諸祭具の難解な名称と意味をわかりやすくしたのです。古い時代の文献や写真、言い伝えも掘り起こしました。
祭りの大切さや楽しさを再認識した上で、「オマツーリズム」と名づけた祭り体験プログラムを都市部の人たちに提供し、交流しました。価値を認めていなかったモノやコトにまで注目が集まるようになり、地域住民と都市住民が一体となって掘りおこした祭りの魅力は、インターネットライブ中継で二○○六年、全世界に向け発信され、反響を呼んだのでした。
今、求められている地域の価値や魅力とは一体何なのか。足元を掘り起こすことで、新たな発見につながるかもしれません。

| - | 11:04 AM | comments (1) | trackback (276) |
「活かす」街づくり 5月15日掲載
イカスまちづくり

 街づくりに興味を持ち始めた二十代半ば、「地域のアイデンティティー」という言葉がもてはやされていました。個性や理念といった意味のこの言葉は、他地域との差別化をはかり、この街でしか味わえない独自性を追求しようというものです。
 当時、この人吉球磨でも多くのまちづくり団体が活動していました。意見交換会で交流もしましたが、「新たにつくる」という議論が多かった気がします。  
私は街並みの形成過程や、現状の共通認識で足元を見直すことが最優先との思いが強く、編集長となってタウン情報誌を発行し、独自の街づくりを模索した時期もありました。
人吉球磨には国指定十三件、県指定八件の重要文化財をはじめ、鎌倉時代から江戸時代までに造られた多数の歴史的建造物が点在し、中世建造物の博物館とも形容されています。どれもが街の大切なシンボルとして、これまでにいくたびかの修復が加えられ、個性ある姿を今に伝えています。
ひと昔前まで米蔵として利用された石蔵が、地域のコミュニティースペースやツーリズムの拠点として、また古民家を再利用した懐かしい雰囲気の食事どころが、人気を集めています。新たにつくることも大切ですが、今あるもの、役目を終えたものを再生させる。人吉球磨にはそんな「活(い)かす街づくり」が似合うと思います。

| - | 11:02 AM | comments (0) | trackback (459) |
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